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日本小児歯科学会第39回九州地方会大会および総会

教育講演(認定歯科衛生士セミナー)

子どもたちをう蝕から衛る〜フッ化物洗口を通じて〜

しながわ小児歯科医院 (佐世保市)
品川 光春


略歴
1977年 九州歯科大学卒業
1981年 九州歯科大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1984年 しながわ小児歯科医院開業、現在に至る

日本小児歯科学会関係
1988年 日本小児歯科学会認定医
1992年〜1995年 日本小児歯科学会九州地方会監事
2000年〜2002年 日本小児歯科学会九州地方会副会長
2002年〜2006年 日本小児歯科学会理事(広報)
2005年 日本小児歯科学会専門医指導医
2006年〜2008年 日本小児歯科学会常務理事(地域保健)
2008年〜2010年 日本小児歯科学会副理事長(医療)
2010年〜2016年 日本小児歯科学会常務理事(社会保険)

歯科医師会関係
1991年〜2017年 佐世保市歯科医師会理事
2015年〜2017年 佐世保市歯科医師会会長
2017年〜2021年6月 長崎県歯科医師会副会長

抄録
 現在は保育所、幼稚園、小学校での歯科健診でもう蝕が認められない子どもが多くなっています。しかしながら少数ですが、多くのう蝕に罹患した子どもが存在し、う蝕が全くない子との格差が問題になっています。将来のある子どもたち全てが平等にう蝕を無くしていくためには、個人の努力だけでなく社会的な対策が必要で、「集団でのフッ化物洗口」によるう蝕予防を推進していくことが必要と考えています。
  園・学校でフッ化物洗口を実施していくためには、歯科医師会が行政と協力して働きかけることが重要です。長崎県では1995年(平成7年)に「長崎県歯科保健大綱」が、佐世保市では1996年(平成8年)に「佐世保市歯科保健大綱」が作成され、う蝕予防のために集団でのフッ化物洗口の記載もされ、歯科保健推進計画も作成されました。
 ところが、園・小学校でのフッ化物洗口はほとんど進展しませんでした。そのため長崎県議会議員との交渉により、2010年(平成22年)に全国で3番目となる「長崎県歯・口腔の健康づくり推進条例」が制定されました。佐世保市でも2012年(平成24年)に「佐世保市歯・口腔の健康づくり推進条例」が制定され、いずれもう蝕予防のために園・学校でのフッ化物洗口の推進が明記されました。
 県条例制定から2年後、2012年(平成24年)に長崎県は5年間で県内の保育所、幼稚園、小学校でのう蝕予防のための「フッ化物洗口」を実施することが決まり、小学校では予定通り100%実施され、その後中学校でも100%実施に向けて現在進行中です。
 今回、子どもたちをう蝕から衛るため、園・学校でのフッ化物洗口の必要性、また実行していく際の課題や障害に対する対応、そして今後の展望について佐世保市での実践活動を中心にまとめてみました。これから園・小学校でのう蝕予防のためにフッ化物洗口の実施を検討されている皆様や地域のご参考に少しでもなれば幸いです。