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日本小児歯科学会第36回関東地方会大会・総会

大会長挨拶

 

日本小児歯科学会第36回関東地方大会大会長

巣瀬 賢一


 令和3年度の日本小児歯科学会第36回関東地方会大会・総会は、7年ぶりに埼玉県小江戸川越に会場を設け開催すべく準備を進めてまいりました。しかしながら今年度は、新型コロナウイルス感染症のため、小児歯科学会全地方会がWeb開催となりました。関東地方会の配信は10月17日(日)から8日間、オンデマンドでの公開を予定しております。
 テーマは「どうする小児歯科~患児を取り巻く多様性への対応を考える~」とし企画いたしました。
 近年、歯止めが利かない少子高齢化など社会の子どもに対する関わりは著しく変化し、私たち小児歯科医療者も周辺環境の価値観や生活様式、子育てに関する考え方の多様化を経験しています。家族と子どもの関係性なども意識した、診療スタイルを再考することも想定されます。
 新型コロナウイルス感染症の影響は、不要不急の外出や病院等への通院を控えるなど、従来の生活習慣を変えました。また、歯科診療室においては室内の環境を考慮した来院患者の調整やスタッフの配置、頻回の消毒や換気など、診療体制も大きく変化しました。今までと異なる種々の環境変化に対しては、従来のスタイルをどうのように変更させることが理にかなっているのでしょうか。今回の大会では、特別企画関東9大学によるポスターのテーマを「各大学の感染予防対策」とし、ご発表を頂くことになりました。
 小児歯科診療は、体の中で唯一自然治癒の無い硬組織疾患に対する予防と、口腔機能の健全な成長の一助になることと考えております。乳歯をう蝕に罹患させないことは、健全な永久歯列へと導く近道であり、小児歯科医療者の日常臨床において一つの目標でもあります。う蝕予防行為では、歯科医療者と生活者の関係が定期的なモチベーションの場のなかで、長く続いていくことも大切だと思います。しかし良かれと思った予防的提案が、生活者の要求と齟齬が生じる、歯科医療者からのさらなる向上をうまく伝えきれないなどの結果、長期の定期的な関係が困難になることもあります。
 生活者と歯科医療者がともに高度な医療を求めあうことは大切ですが、特に小児期という成長発育が大きく関与するこの時期は、一人一人の変化を鑑み、より柔軟性をもった対応も大切となります。歯科医療者は生活者に対して、一回の来院ですべてを求めず、今しかできないこと、あとでも影響が少ないことなども考慮し、長期的な展望を持つことが真の予防歯科へつながるとも考えます。
 今回のご講演では生活者と歯科医療者が、より良い関係を構築できるヒントの提供をお願いしました。この大会では、小児歯科を専門とする医療従事者のみならず、「子どもたちのために」と矜恃を持って日々切磋琢磨されている全ての歯科医師・歯科衛生士の皆様と日常臨床を取り巻く多様性への対応を検討したいと考えております。そして明日から臨床に活用いただければ幸いです。